社会 人財戦略
人財への投資拡大による人財価値の向上
当社グループは、「“喜び”を実現する企業グループ」をミッションとして掲げ、150周年に向け策定した「未来ビジョンCX150」の実現に向けた戦略を明らかにするために、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とする「中期経営計画2024ローリングプラン」を策定し、グループをあげて取り組みを進めています。
経営戦略や事業戦略を実現させる主体は「人財(従業員)」に他なりません。人財戦略=投資と位置づけ、対象領域として人事制度の刷新や働き甲斐改革、人財開発、ウェルネス/ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン・グローバリゼーションの5つの領域を定めました。今後、各領域が連動して施策を展開することにより、経営ビジョンを実現できる価値の高い人財を継続的により多く輩出することを目指しています。また、組織開発や人財のアロケーションにより、施策の実効性を確保し、組織力と人財価値の最大化に取り組みます。
人事制度の刷新
当社では、若手からシニア層に至る従業員一人ひとりが、働き甲斐を実感でき、前向きに自己実現を図ることで、エンゲージメントが向上することにより経営戦略の実現や企業価値の向上に資するよう、2023年度より新人事制度を導入しました。
新たな等級・報酬制度(ミッション・グレード制度)は、従来の年功的要素を取り除いて、実力主義により役割や貢献度に応じた役職付与や報酬へと移行するものです。
新制度では、年齢や勤続年数によらず役割価値を基準として等級・報酬が設定されるため、実力ある若手の重要ポストへの抜擢や適材適所の配置により、会社全体の成長意欲の底上げと組織の活力の向上を促進します。また出産や育児などの休業や勤務地限定により生じていた男女間の等級・報酬格差を是正することにより、社会的な課題でもある女性活躍推進や仕事と家庭の両立などライフプランに応じた前向きなキャリア形成を実現できる環境を整備しています。さらに、市場競争力のある報酬水準を維持して社内外の優秀人財のニーズや価値観との整合性を確保することにより、優秀人財の定着・成果発揮や戦略・重点領域の外部専門人財の獲得を促進して、中長期的な企業競争力の強化を企図しています。
このほか、より納得性・公平性の高い新たな評価制度への移行や65歳までの選択定年(定年延長)制度の導入、70歳までの再雇用制度の拡充、若い優秀人財の登用を促進する役職定年制度の導入など、将来に向けて企業風土の改善や持続的な企業価値の向上の基盤となる新たな人事制度へと刷新しました。
今後、新人事制度を基盤として、組織開発や人財のアロケーションの再構築など人財戦略の各取り組みを推進していきます。
働き甲斐改革
従業員一人ひとりが日々の仕事に働き甲斐を感じて、気持ちをひとつにチャレンジ精神を持っていきいきと仕事に臨むことができる環境を構築することで、新しい価値が生み出されます。
当社では、従業員一人ひとりが思い描く理想の「ライフ(人生)」を実現する手段のひとつとして「ワーク(仕事)」を考え、家族や趣味、学びなどの手段とともに、より自分らしく、充実した働き方を選択する「Work in Life」の考え方を重視しています。
2024年度から適応された時間外労働の上限規制を踏まえ、近年、総実労働時間の短縮や休暇取得日数の増などの取り組みを全社的に推進しています。また、健康経営の実現に向けた取り組みにも注力しており、その結果、2019年度以降、継続して健康経営優良法人であるホワイト500の認定に選定され、2024年度は5回目のホワイト500の認定を受けています。
さらに、経営者目線で事業案を考え、これまでの業務ではチャレンジできなかった領域に踏み出すことができるなど、従業員がより大きなやりがいや成長を実感できる機会を提供することを目的として、2022年度より社内ベンチャー制度を導入しました。
今後も引き続き、従業員が「Work in Life」を追求して、日々の業務に働き甲斐を実感できるような環境づくりを進めていきます。
従業員の挑戦を促す取り組み
当社では、事業創出と人財育成を目的として、2022年度に社内ベンチャー制度(プログラム名称“GATE”)を導入しました。
GATEは、従業員が新規事業を会社に提案し認められた場合に、そのプロジェクトに対するバックアップや予算、施設の提供など、会社が一定の援助を行い、事業化あるいは会社設立を目指すプログラムです。採択された従業員はプログラムへの参加を通して、新規事業に明るい外部パートナーによる研修やメンタリングのサポートを受けることができます。新規事業への情熱を持ち続けられるように会社が伴走支援する点が特徴です。
導入初年度は書類審査を通過した15名(うち社外からの参加者1名)のうち、5名(うち社外からの参加者1名)が最終審査を通過し、事業化に向けて取り組んでいます。今年度は11名(うち社外からの参加者3名)が書類審査を通過し、GATEに参加しています。
従業員の思い入れの強いアイデアをもとにしたボトムアップ型の制度であり、会社が従業員に伴走支援することにより、従業員の新たな領域へのチャレンジを促して、いきいきと活気ある社風の形成や、経営者目線を備えたイノベーティブな人財の育成などを企図しています。
今後も、従業員にとって、大きなやりがいや達成感、成長を実感できる機会を創出して、働き甲斐の向上に向けた取り組みを推進していきます。
フレックスタイム制の導入
当社は、全社をあげて「労働生産性の向上」、「総労働時間の短縮」、「健康経営」などの「働き方改革」に取り組んでおり、その一環として本制度を導入しています。
2020年6月21日よりフレックスタイム制の「コアタイムを廃止」して、より効率的・効果的な新たな働き方に自律的に挑戦することにより、個人および組織の成果拡大につなげる他、労働時間管理を「1日」から「1ヵ月」の総実労働時間へと移行することで、より計画的な働き方への意識の醸成を図り、年間の総実労働時間の減少と個々の自由時間や自己啓発など自己への投資の時間の創出を目指しています。
スマートオフィスビル
昨今の社会情勢の変化によりオフィスの在り方が多様化している環境下でも、社員の個性やアイデアを活かし多様なコラボレーションが活性化して人が活きるオフィスの実現を目指しています。そのために、スマート技術を活用して社員へ便利なサービスを提供するスマートオフィスアプリ「T_ReCS※1」や、在宅勤務とオフィス出社のハイブリッドな働き方を支援する「デジタルツインスマートオフィス※2」の開発をしています。
ワーク・ライフ・バランスの充実
当社では、社員一人ひとりが「健全、且つより高いモチベーションのもとで能力を発揮し、安心して健康的に働くことができる職場環境」を整備することを目的として、仕事と家庭の両立に加え、個人生活においても充実感を感じられるよう、メリハリのある働き方を実現するための仕組みづくりを継続的に行うなど、ワーク・ライフ・バランスの充実に向けた取り組みを進めています。