環境 カーボンニュートラル実現に向けた行動計画

当社グループでは、持続的な成長のためのマテリアリティ(重要課題)の1つに「脱炭素社会の実現」を特定し、事業活動におけるカーボンニュートラル実現に向けた活動に取り組んでいます。

コミットメント

当社は、建設現場含む全事業所におけるエネルギーの使用に加え、お引き渡しする建物の使用期間中や建設資材の調達時等、事業活動のあらゆる場面でのエネルギーの効率的な利用と再生可能エネルギー利用の拡大によりスコープ1,2,3削減に取り組みます。

当社グループ温室効果ガス排出量の特徴

スコープ1、2について

当社スコープ1,2の排出源は、主に国内外の建設現場(作業所)とそれ以外に分けられます。建設現場以外には、本支店社屋、技術研究所、プレキャスト部材工場の他、グループ会社が保有するアスファルト合材工場、宿泊施設、温浴施設等が含まれます。
作業所では、スコープ1,2の約70%を建設機械(パワーショベル、ダンプ等)で使用する軽油が占めています。建設現場以外では、本支店社屋やグループ会社事業で使用する電気と、アスファルト合材工場や温浴施設等で使用する都市ガス、重油が主な排出源です。

スコープ1+2 計 (2025年度実績):77,019 t-CO2
図. スコープ1+2内訳(2025年度実績、マーケットベース)

スコープ3について

当社では、スコープ1、2に比べてスコープ3の排出量が非常に大きく、特にその大半を占めているのがカテゴリ1とカテゴリ11です。当社において、カテゴリ1は主に調達する建設資材(コンクリート、鋼材、内外装材等)の製造に関連する排出、カテゴリ11は施工した建物の使用段階における排出が該当します。パリ協定(1.5℃目標)達成には、スコープ1、2の削減に止まらず、低炭素資材の調達や省エネ建物(ZEB)の建設を通じたスコープ3の削減にも取り組むことが重要だと考えています。

  • ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル):快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物
スコープ1+2+3 計 (2025年度実績):274万 t-CO2e
スコープ1,2,3 t-CO2e
スコープ1 5.6万 2.0%
スコープ2 2.3万 0.8%
スコープ3 266.2万 97.2%
1 購入した製品・サービス 127.6万 47%
2 資本財 9.3万 3%
3 スコープ1,2に含まれない
燃料及びエネルギー活動
1.5万 <1%
4 輸送、配送(上流) 1.6万 <1%
5 事業から出る廃棄物 0.2万 <1%
6 出張 0.1万 <1%
7 雇用者の通勤 0.2万 <1%
8 リース資産(上流) 対象外
9 輸送、配送(下流) 対象外
10 販売した製品の加工 対象外
11 販売した製品の使用 122.0万 45%
12 販売した製品の廃棄 3.0万 1%
13 リース資産(下流) 0.7万 <1%
14 フランチャイズ 対象外
15 投資 対象外
スコープ1+2+3 計 274万 100%

グループ行動計画

当社は、2030年度に向けて1.5℃水準のCO2削減目標を設定し、SBTイニシアチブによる認定を取得しています。今後、目標達成に向けた削減活動を進め、2050年度には、SBTイニシアチブのネットゼロ新基準(The Net-Zero Standard)に則り、10%未満の残余排出量をバリューチェーンの外で「中和(森林由来吸収や炭素除去技術等を活用)」し、事業活動におけるカーボンニュートラルの達成を目指します。

基準年(2020年度)排出量はこちら

行動計画①:建設機械の軽油使用に伴う排出の削減(スコープ1)

建設工事では、建設機械の稼働により大量の軽油を使用しています。この軽油によるCO2を削減するために、設計、施工の段階において運搬土量の削減や施工の効率化等の検討に取り組み、使用する軽油の量の削減に取り組んでいます。また使用する軽油については、バイオディーゼル燃料などの環境配慮型燃料や燃焼促進剤(K-S1)を利用しています。

バイオディーゼル燃料の利用

CO2排出量が実質ゼロとなるカーボンニュートラル燃料として、植物性の廃食用油を活用した軽油代替燃料であるバイオディーゼル燃料の利用拡大を図っています。バイオディーゼル燃料は製造プラントによってその品質のばらつきがあるため、当社は蒸留した高純度バイオディーゼル燃料(リーゼル燃料※1)を軽油に30%混合したB30燃料を建設作業所における鉄骨やスタッド溶接、杭工事等に活用しています。
リーゼル燃料は2025年度NETIS登録※2されました。整備局案件ほか公共工事において更に積極的に利用していきます。

作業所の発電機への給油状況
工作所のフォークリフトに利用
  • ※1廃食用油のエステル化によって製造したバイオディーゼル燃料を更に蒸留精製処理した軽油代替燃料
  • ※2国土交通省が認めた民間企業が開発した新技術の情報を共有・提供するデータベース

燃焼促進剤(K-S1)の利用

取り組みやすいCO2削減策として燃焼促進剤K-S1の利用を協力会社に推奨しています。
重機等の建設機械に使う軽油に添加(軽油に対して0.1%)することにより、燃費が約10%程度改善されるため軽油の利用量が削減され、結果としてCO2排出を抑えることが出来ます。また添加することにより大気汚染の原因となる排気ガス内のPMやNOxの排出も削減されるのでトンネルなどの閉鎖した空間での作業環境改善にもつながります。原料が軽油由来の燃焼促進剤K-S1は利用する機械を選ばず、燃料タンクに混合するだけなので取り組みやすい活動になっています。

K-S1
K-S1
K-S1添加状況例

次世代バイオ燃料の利用

近年、リニューアブルディーゼルに分類される「HVO燃料(水素化処理植物油)」といった次世代燃料が普及しつつあります。HVO燃料は廃食油等を原料として製造され、既存のディーゼルエンジンにそのまま使用できるため、運用面での利便性に優れています。また、HVO燃料は、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)上の温室効果ガス排出量の算定において、CO2排出がカウントされない燃料として位置づけられています。
当社はこれらの特性に着目し、HVO燃料の導入を積極的に進めています。2025年度は、伊藤忠エネクス(株)から調達したHVO燃料や「サステオ」等の製品を活用し、建築工事における杭打設重機や鉄骨工事に使用する発電機に導入しました。また、グループ会社である戸田道路(株)においても、市街地の電線の地中化に伴う共同溝整備工事において、パワーショベルにHVO燃料を使用するなど、グループ一体となった排出削減に取り組んでいます。

RD燃料
RD40を使用した杭打設重機
(協力:株式会社テノックス)
サステオ51を使用した発電機
(協力:カメイ株式会社)

(株)ユーグレナが開発した、軽油にHVOを51%混合した次世代バイオディーゼル燃料

GX建機の利用

当社は作業所において国土交通省が創設したGX建設機械認定制度に基づく、GX建機を使用しています。
トンネル工事の坑内及び坑口付近での排水路や路盤の維持管理や、シールド工事の立坑掘削にバッテリー式や有線式の電動バックホウの使用を推進しています。再エネ電力を利用することで、温室効果ガス削減に貢献します。また、排気ガス・騒音の低減により、作業環境の改善にも寄与します。

バッテリー式GX建機による
路盤維持作業
有線式GX建機による掘削作業
GX建機の認定ラベル
  • 国土交通省が創設したGX建設機械認定制度の認定を受けた電動建機等

行動計画②:再エネ電力の調達・使用の推進(スコープ2)

建設工事で発生するCO2の内、約30%は電気の使用によるものです。建設工事においては、これまで仮設照明におけるLED採用等、電力の省エネに寄与する取り組みを推進してきました。さらに当社では、2019年にRE100イニシアチブに加盟し、建設工事を含む事業活動での再エネ電力利用を推進しています(当社の再エネ利用率の実績はこちら)。
カーボンニュートラルの実現に向けては、建設機械を含む様々な機器が電化することで、当社の電力使用量は増加する可能性があります。当社ではこれまで以上の省エネに取り組むと共に、追加性のある再エネ調達の拡大により、カーボンニュートラルな事業活動を目指します。

RE100達成への取り組み(再生可能エネルギー電力の調達スキーム等)

再生可能エネルギー電力の自家消費

当社保有の施設では、太陽光パネルによる再エネ電力の自家消費にも取り組んでいます。建設現場は敷地条件や工事期間による制約から、太陽光発電の自家消費によるメリットを最大限に生かすことが難しいという特徴がありますが、条件の良い作業所では積極的に太陽光パネルによる再エネの自家消費にも取り組んでいます。

筑波技術研究所 構造施工実験棟
成田工場(プレキャスト部材)

作業所における安全通路の屋根を利用した太陽光パネル設置例

再生可能エネルギー事業の更なる展開

当社は国内5カ所の太陽光発電所(計37.2MW)、ブラジルで2ヵ所の陸上風力発電所(計116.2MW)で発電事業を行っています。また、当社の土木事業においては太陽光発電所683MW、風力発電所602MWの建設に携わってきました。(2026年3月時点)。今後も再エネ発電所の発電事業及び建設に積極的に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

なお、当社の浮体式洋上風力発電事業への取り組みは以下リンクよりご参照ください。

  • 一部商用稼働前の試運転・調整含む
TODAメガソーラー深谷発電所
(15.6MW,埼玉県)
ブラジル陸上風力発電所
(27.72MW,リオ・グランデ・ド・ノルテ州)
はえんかぜ
(2.0MW,長崎県)

行動計画③:低炭素資材の調達推進(スコープ3 カテゴリ1)

建設業では、コンクリート、鋼材、セメント等の躯体材料を初め、内外装には多種多様な建材を大量に調達します。これらの資材は、原料調達から製造までの段階で大量のCO2が排出されており、当社ではこれらのCO2排出の少ない資材の調達や研究開発に取り組んでいきます。

低炭素資材の特定と調達の推進

当社では、グリーン購入法に基づく特定調達品目の調達に取り組んできました(グリーン調達)。
国内では、2028年度の開始を目指した、建築物ライフサイクルカーボン算定制度の検討が進められています。2024年には、その算定ツールである「J-CAT(Japan Carbon Assessment Tool for Building Lifecycle」が公開され、「建設資材の調達」も含めた、建物のライフサイクルカーボン評価が広まりつつあります。
当社では、J-CATやEPD製品の排出原単位などを参考に、カーボンフットプリントの小さい資材を特定し、それらの調達を通じてスコープ3カテゴリ1の削減に取り組んでいきます。

CO2排出の少ない建設材料の開発

環境配慮型のコンクリート「スラグリート®」による建築物の低炭素化

当社と西松建設(株)で共同開発した「スラグリート®」は、製鉄所の高炉から発生する副産物である高炉スラグの微粉末を、セメントの代替として用いることで、セメント製造における温室効果ガスの排出量を20~65%削減したコンクリートです。脱炭素社会の実現に貢献するほか、副産物を有効利用することでセメント原料となる石灰石資源の投入量削減にもつながり、循環型社会の実現にも寄与します。

スラグリート®には、主に地下構造物に適用する「スラグリート®70」の他、上部構造物にも適用可能な高炉セメントA種相当コンクリート「スラグリート®BA」、コンクリート製造時の高炉スラグ微粉末の使用量を抑えた高炉セメントC種相当コンクリート「スラグリート®BC」があります。

スラグリート®70

 普通ポルトランドセメントと高炉スラグ微粉末を30:70の混合比率にて製造した高炉セメントC種相当のコンクリート

スラグリート®BA

 普通ポルトランドセメント50%、高炉セメントB種50%の混合比率にて製造した高炉セメントA種相当のコンクリート

スラグリート®BC

 高炉セメントB種60%、高炉スラグ微粉末40%の混合比率にて製造した高炉セメントC種相当のコンクリート

スラグリート®のラインナップを充実させることで、構造物全体に環境配慮型のコンクリートを適用することが可能となります。

スラグリート®70
高炉スラグ微粉末
耐圧スラブへの「スラグリート®70」適用状況(TODA BUILDING)
スラグリート®BAの生コンクリート
スラグリート®BAのプレキャストコンクリート

LCA算定結果

当社では、建築物および建材のライフサイクルアセスメントによる温室効果ガス排出量の評価、削減に努めています。当社では「スラグリート®」の LCA(資材製造段階)を実施しています。

  • 原材料の調達、工場への輸送、製造を含む

スラグリート®LCA結果一覧

資材名 排出原単位 備考
スラグリート®70 200 kg-CO2eq/m3 呼び強度:40 N/mm2
スラグリート®BA 370 kg-CO2eq/m3 呼び強度:42 N/mm2
スラグリート®BA プレキャスト製品 640 kg-CO2eq/m3 設計基準強度:36 N/mm2
呼び強度:42 N/mm2

行動計画④:ZEB・省エネ建物の拡大(スコープ3 カテゴリ11)

建物のライフサイクルにおいて、建物使用段階は最も多くのエネルギーを使用しています。当社のサプライチェーン排出量においても、「施工した建物の運用期間中のエネルギー消費(スコープ3カテゴリ11)」は大きな割合を占めています。
このエネルギー消費を削減する手段がZEBです。当社では、快適な室内環境を実現しながら、建物の省エネルギー化、再生可能エネルギー利用を推進する技術開発等に取り組んでいます。

ZEBの普及に向けた取り組み

わが国では、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」として、2030年には新築される建築物においてZEB基準の水準の省エネ性能が確保される、2050年にはストック平均でZEB基準の水準の省エネ性能が確保されることを目指しています。これを受け、当社では2030年に当社の設計案件がZEBを達成するよう省エネ設計の強化に取り組んでいます。

ZEB・省エネ建物の拡大に向けた詳細はZEB参照。

カーボンマイナスに向けた研究開発の強化

筑波技術研究所(茨城県つくば市)のグリーンオフィス棟は、ZEBを達成した上で、ライフサイクルでのカーボンマイナスを目指すこと、 さらには良好な室内環境などにより、健康的に働くことができるウェルビーイングの向上をコンセプトにしています。 そのため建築・設備、さらには家具・備品・外構にいたるまで、多くの技術要素や工夫を取り入れています。
グリーンオフィス棟では、所員の執務スペースとして使いながら、カーボンマイナスの実現に向けた様々な技術の実証を行っています。

  • カーボンマイナス:施設のライフサイクルにおいて、施工時や廃棄時に加え、エネルギー消費などの運用にともなうCO2排出量(プラス要因)に比べて、再生可能エネルギーの利用と木材・樹木によるCO2の固定・吸収による削減効果(マイナス要因)が大きく、収支としてマイナスとする考え方。
グリーンオフィス棟概要
グリーンオフィス棟
構造
鉄筋コンクリート造(免震構造)
階数
地上2階
建築面積
379.61m2
延床面積
674.38m2
  • SCIENCE BASED TARGETS DRIVING AMBITIOUS CORPORATE CLIMATE ACTION
  • RE100
  • ECO FIRST