社会
ダイバーシティ・エクイティ&
インクルージョン

基本的な考え方

顧客や社会の多様化したパーソナルなニーズを的確に把握し、社会に必要な価値を提供するためには、従業員の多様な価値観と能力が不可欠であると考えています。
そのため従業員のウェルビーイングの向上は必須です。性別やLGBTQ+(性的マイノリティ)、国籍、人種、宗教、スキルなどの多様な背景を持つ人財が活躍できるよう、人権方針の策定や働きやすい環境の整備など、さまざまな取り組みを推進しています。

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進

アンコンシャス・バイアス」はダイバーシティ推進を阻害する要因のひとつとされ、自分自身は気づいていない「ものの見方やとらえ方の歪み・偏り」のことを指し、誰にでもあるものです。問題は気づかないうちに、「決めつけ」たり、「押しつけ」たりしてしまうことにより、相手に不快な思いをさせたり、良好な関係が築けなくなることであり、自身に潜む偏見を認識することが改善への第一歩になります。心理的安全性を醸成するためにも必要と捉え、上層部からアンコンシャスバイアス研修を実施しています。

アンコンシャス・バイアス研修に無自覚であることの影響(ポジティブなバイアスも含む)
「アンコンシャス・バイアス」についての研修用資料の例

アンコンシャスバイアス研修の実施(オンライン)

2023年 課長クラス  642名受講
2022年 次長クラス  223名受講
2021年 部長クラス  240名受講
2020年 役員クラス    32名受講

「アンコンシャス・バイアス」についてのオンライン研修の様子

女性の活躍推進

当社は、従業員の多様なあり方・価値観を尊重し、その中でも、特に重要な課題と位置づけている「女性活躍推進」については「キャリア形成」と「就業環境」の両面より取り組みを強化してきました。女性がいきいきと活躍して新しい角度・目線から活動しやすい環境・施策の整備を進めています。
女性のキャリア形成のため、女性経営者育成支援研修や大学講座等への派遣も行っています。また育児休業などのライフイベントを支援するための「ならし保育休暇制度」や「法定以上の時短勤務制度」など柔軟な働き方ができるように環境整備をしています。

女性管理職比率(課長代理級以上に占める女性の割合)は、優秀な人財の登用を推進し、キャリア形成の実現に向けた育成を強化した結果、2023年度には4.3%まで上昇しました。
様々な取り組みの結果、女性活躍推進法第9条に基づく「えるぼし認定」で最上位の3つ星を取得しました。

えるぼし認定
えるぼし認定段階3
女性従業員の登用状況
  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
女性従業員比率(%) 14.8 15.4 16.1 16.6
女性管理職比率(%) 2.6 3.1 3.7 4.3
女性役員比率(%) 11.8 11.8 16.7 16.7

キャリア形成

■社内研修の充実

  • 女性経営者育成支援研修 累計24名
    主任級以上の女性社員から将来の経営人財候補者を選抜し、リーダーシップおよびマネジメントの能力を向上させるとともに、経営視点・事業全体を俯瞰できる視点を育む支援をしています。
  • 管理職(上司)の研修
    女性部下を持つ上司に対して「女性社員への過剰な配慮をやめ、キャリアアップへどう導いていくか等を説き、女性部下育成への積極的な関与を促しています。
女性経営者育成支援研修の受講風景
社長懇談会でのワーク風景

■社外研修への派遣

  • 昭和女子大学キャリアカレッジへの派遣 累計20名
  • Women’s Advanced Programへの派遣 累計2名
    自社では得られない知識や専門スキルを習得し、視野の拡大を図るとともに社外の有益な人脈を築くことを目指しています。
オンライン報告会の様子

女性の活躍推進企業データベースはこちら[PDF:206KB]

キャリア形成~技術職の軌跡~

施工管理職(土木工事) S氏

好きを続けるために

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戸田土木で…

外に出ればどこを見ても道路や上下水道などのライフラインを支える「土木」があり、その「当たり前な土木」に従事したく戸田建設に入社しました。現場配属当時は毎日が新しい発見で、図面の見方や発注者がより納得する施工方法など、先輩や協力会社に相談してよく助けてもらい、戸田の技術力の高さ、そして人間関係の重要性を実感していました。内勤へ異動後は、現場が何を求めているかの視点に立った業務とコミュニケーションを意識し、その大切さを改めて学びました。それらの経験を活かして再び現場での業務に臨める事を幸せに感じています。
業務や環境も変化していく中で、主体的にこれまでの自分を活かすことができるよう、専門スキルの習得や後輩社員との関わりを大事にしていきたいです。

家族がいるからこその自分

私がこの仕事を好きでいられるのも家族のおかげで、在宅勤務やフレックス制度を活用しながら夫と協力し、緩い感じで家事育児を楽しんでいます。7歳の娘は「ここママの工事現場~?」と話すこともあり、私の仕事に少し興味を持ってくれていることを嬉しく、また誇らしく思っています。

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技術研究職(建築) O氏

異分野から建築へ

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学びの日々

大学では建築とは異なる分野を学んでいましたが、建築という切り口から医療に関わる仕事をしてみたいと考え、「病院の戸田」と呼ばれる当社に入社しました。
入社後は大学校舎の現場に配属されました。皆で協力しながら、設計図が実際の建物になっていく様子を目の当たりにし、建築に関する知識や技術を身に付けることができました。その後、技術研究所に配属となり、現在は光環境や緑化に関する研究開発などを行っています。省エネルギー、脱炭素、ウェルビーイング、生物多様性など様々なニーズや課題への対応が求められる中で、日々学び、試行錯誤しながら研究開発に取り組んでいます。

思い描いたキャリアを築く

女性初の戸田技術奨励賞受賞

仕事に慣れて楽しくなってくる時期と、ライフステージが変化する時期が重なっていることもあり、私自身、今後どのようなキャリアを築いていけばよいのかと悩んだことがあります。ただ、以前と比べると、今は働き方の選択肢が増え、かつ多様な働き方への理解が広まっており、自分の思い描いているキャリアを築きやすい環境が整ったように思います。世の中のニーズに応えることはもちろんですが、思い描いたキャリアを築けるよう、これからも全力で仕事に取り組んでいきたいと思います。

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就業環境の支援

育児や介護をする社員が仕事と出産や育児を両立し、安心して働けるような環境を整備することを目的に法定を上回る制度の拡充と利用促進に努めています。またフレックスタイム制・在宅勤務制度の利用で柔軟な働き方を可能とし両立を支援しています。

育児に関する両立支援制度

産前産後休業
出産する社員の産前6週(多胎妊娠の場合は14週)産後8週間を特別休暇としています。
育児休業
開始日を含む5日間を有給としています。
看護休暇
失効有給休暇の利用を可能としています。
育児時短勤務制度
2024年7月より小学校6年生修了まで取得可能とし、いわゆる小1の壁や小4の壁を超えられるようにしました。
ならし保育休暇
2020年4月より預け先の保育園に子供を徐々に慣らすための休暇として失効有給休暇を利用できるようにしています。
また翌年には子供の転園の際にも利用できる様、子が4歳に達するまで利用可能期間を延長しました。
産後パパ特休
2022年10月の育児介護休業法改正に伴い、「産後パパ育休」を有給扱いで新設するとともに、2週間前の申請なく上長の承認で利用できる「産後パパ特休」を新設し、急な場合でも職場の調整で休暇取得しやすい制度としました。

(年度)

  2018 2019 2020 2021 2022 2023
看護休暇(日) 23
(6)
35
(8)
26
(4)
41
(9)
57
(13)
75
(25)
育児時短勤務制度(人) 56
(1)
51
(1)
60
(1)
66
(0)
60
(0)
72
(0)
ならし保育休暇制度(人) 18
(0)
19
(1)
18
(1)
14
(0)

(  )内は男性の利用者数

男性の育児休業取得推進

女性が長く安心して仕事と育児を両立するには、家庭内のみならず会社も積極的にサポートすべきと当社は考えています。
また、育児は男性女性に共通するライフイベントであるため、男性へのサポート体制も強化しています。男性女性ともに仕事と育児を両立できるよう、当社では出生の届出の都度、人事統轄部から本人とその上長に制度を案内し、正しい理解のもと相互に安心して育児休業を取得できるようサポートしております。その結果として、育児休業の取得者数は増加し、男性の取得率も2020年度から4年連続で100%を達成しています。

2022年10月より、従来の育児休業制度に加えて、開始2週間前までの申し出により、出生後8週間以内に28日間を有給の扱いで「出生時育児休業(産後パパ育休)」の取得を可能としました。
それに加え、当社独自の「産後パパ特休」を新設して、産後パパ育休と合計で28日までを有給にて取得可能とすることにより、法定を上回る制度としました。また、複数回の分割取得も可能とし、業務の状況と産後の肥立ち・お子さまの状況などを鑑みて、急な場合でも育児のための休暇を取得できるよう環境が改善されました。

男性育児休業取得ガイドブック
男性育児休業取得ガイドブック

(年度)

  2018 2019 2020 2021 2022 2023
育児休業制度
利用者数(人)
93
(68)
96
(74)
142
(120)
143
(122)
161
(141)
148
(123)
男性育児休業
取得実績(%)
57.1 66.7 100 100 100 100

(  )内は男性の利用者数

男性育児休業取得状況

介護に関する両立支援制度

介護休暇
失効有給休暇を利用可能としています。
介護休業
183日まで取得可能としています。

2019年
40歳以上を対象に介護に関するアンケートを実施し、結果を受けて同年本社ビルにて介護セミナー基本編を開催。
その後基幹支店での介護セミナー基本編を開催。

2020年
管理者向け介護セミナーをオンラインで開催。

2021年
「仕事」と「介護」の両立ハンドブックを作成し展開。
「仕事」と「介護」の両立をサポート
「仕事」と「介護」の両立ハンドブック
「仕事」と「介護」の両立ハンドブック

LGBTQ+に関する取り組み

当社のLGBTQ+に関する具体的な取り組みは以下の通りです。

  1. 1社員の多様なあり方・価値観を尊重することを目指し、「性的指向」「性自認」に関する差別の禁止を2020年6月就業規則に明示。関連する一切のハラスメント行為を禁止するべく、全社員へ向け社長声明を発出。
  2. 22020年社員の理解向上を図るため、全社員向けにLGBTQ+に関するeラーニング研修を実施。
    PRIDE指標において「ブロンズ」を受賞。
  3. 3戸田建設グループオリジナルのALLYシールを作成し、希望者に配付。
  4. 4階層別研修等の社内研修の際に、管理者から一般社員までを対象にLGBTQ+研修を実施。パワハラ防止法の施行を受けて全管理者に対し多様な性のあり方に関するハラスメント研修、経営層には「無意識の偏見」に関する研修を実施。
  5. 5社内・社外に相談窓口を設置し、常時イントラネットに掲載。
  6. 62021年12月「同性パートナーシップ制度」を制定し異性婚と同様の社内制度の利用を可能とし「LGBTQ+ガイドブック」を作成した。PRIDE指標において「シルバー」を受賞。
  7. 72022年全役職員を対象とした第2回目LGBTQ+研修(eラーニング)実践編を実施。
  8. 8全役職員を対象とした無記名アンケートを実施。PRIDE指標において「シルバー」を認定。
ALLYシール
LGBTQ+ガイドブック
PRIDE指標「シルバー」

障がい者雇用の促進

当社では障がい者個々が職場に適応・定着できるよう、障がいの状態に配慮した雇用条件や職場環境を用意し、また個々の能力を考慮した仕事・職場の提供に努めるなど、継続的に障がい者雇用の促進に取り組んでいます。
また、特別支援学校高等部の生徒を中心に、企業就労を目標とした職場体験実習の受け入れを行っています。毎年、知的障がい者の新たな雇い入れを行い、事務作業や清掃等を行うビジネスサポートセンターを設置し、職域拡大や雇用定着に努め、真のノーマライゼーションの定着に向けて取り組んでいます。

障がい者雇用率の推移(各年6月1日時点):個別

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
障がい者雇用率 2.02% 2.16% 2.36% 2.47% 2.53%
法定雇用率 2.2% 2.2% 2.3% 2.3% 2.3%

特別支援学校の職場体験実習の受け入れ数

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
受け入れ数 22人 4人 10人 15人 14人

除菌清掃システムの導入

2022年4月、障がいのある社員の職域拡大を図ることと、社屋の感染予防対策を強化するために、CHKシステムによる除菌清掃を開始しました。
CHKシステムとは一般社団法人チャレンジドハウスキーピングシステム協会が取り組んでいる除菌清掃システムです。

【特徴】

  1. 1質を意識した清掃
    清掃の質は除菌と捉え、病院の手術室で行われるような感染防止を含めた高いレベルの衛生管理を基準にしています。
  2. 2工夫されたカラフルな道具
    高品質、高機能、環境や人体に優しい洗浄剤と使いやすい道具を使用し、誰もが間違いなくまた失敗のない清掃を行えるよう目指しています。
  3. 3清掃のイメージを変える
    きつい、きたない、きけんのイメージを払拭し、衛生的なイメージに変える。感染予防等とても重要な仕事をしていることを発信し、やりがいとステイタスをアップさせています。
清掃の様子
カラフルな清掃道具

研修の充実(体験型研修の実施)

2022年10月、日本ブラインドサッカー協会より講師を招き本社をはじめ首都圏の支店に所属する知的障がい者雇用社員がブラインドサッカー研修を体験しました。
今回の研修はコロナ禍で減少した社員間の交流機会として、またチームビルディング(皆で協力することの大切さ)を学ぶ、他の障がいのある人への理解促進という目的で実施しました。研修中は互いに声を掛け合って協力し合う姿、他のチームも一緒になって1人を応援する姿などが度々見られ大いに盛り上がりました。
参加者からは「楽しかった」「目が見えなくて怖かった」という意見のほか、「相手に伝えることの難しさ」や「どうすれば相手に伝えることができるのかを考えながら取り組んだ(声や音に出す)」という意見も出ていました。
参加者それぞれで学んだことは違うと思いますが、この体験が心に響き、今回の研修目的に少しでも繋がっていければと思います。

ブラインドサッカー研修

大学にて講師を務めました

2023年10月、本社に所属する知的障がい者雇用社員が関東学院大学の講義にゲストティーチャーとして招かれ、「学校~社会人生活を通していきいきと過ごし、働いていること」についての発表を行いました。
授業は小学校教諭養成課程における必修科目の1コマであり、受講した学生は発表を真剣に聞き、また質問を行うなどしていました。
講師を務めた社員は2021年12月より同じ関東学院大学で講義を行い、その後も國學院大學、東京家政大学で同様の発表を行っており、今回で6度目の登壇となりました。

知的障がい者雇用社員による大学での講義の様子

東京都の「心のバリアフリー」サポート企業に登録

東京都では、誰もが円滑に移動しさまざまな活動を楽しめるまちづくりを進めるため、施設整備だけでなく、全ての人が平等に参加できる社会や環境について考え、必要な行動を続ける「心のバリアフリー」を推進しています。

そして心のバリアフリーに対する社会的気運の醸成を図るため、従業員に対する意識啓発等に取り組む企業等を「心のバリアフリー」サポート企業として登録しています。

戸田建設も2021年に東京都の「心のバリアフリー」サポート企業に登録されました。

東京都「心のバリアフリー」サポート企業登録証
東京都「心のバリアフリー」サポート企業登録証

イベント

ダイバーシティフォーラム

2015年 全店女性総合職が集合、社員によるパネルディスカッション
2016年 NPO法人ファザーリング・ジャパン代表/安藤哲也氏講演
2017年~2018年 ブラインドサッカーによるダイバーシティマネジメント研修を全店の管理職に実施
2019年 早稲田大学ビジネススクール教授/入山章栄氏講演
2020年 オンラインにて講演/星加良司准教授(東京大(院)教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター),藤原特任研究員(東京大(院)同)
2021年~ 藤原特任研究員によるアンコンシャスバイアスの階層別の講習
2023年 外勤技術系女性社員オンライン交流会,全店女性社員オンライン交流会,国際女性デー講演会の開催
女性社員によるパネルディスカッションを開催。経営幹部も参加。
体験型研修(ブラインドサッカー)を実施。「無意識への偏見」への気づきを促した。

受賞、認定歴