サステナビリティ トップメッセージ

戸田建設グループの力強い未来を見定め、
社会課題の解決に取り組む新たな歴史の
第一歩を踏み出す。
代表取締役社長
大谷 清介

2024年は新たな歴史を刻む重要な年

 2023年度における国内景気は、雇用および所得環境が改善し、先行きについても緩やかに持ち直しの動きが期待されるなど回復基調となりました。建設業界におきましては、官公庁工事および民間工事ともに建設投資は底堅く推移していますが、建設資材価格が高止まりしているほか、労務需給はひっ迫状態であることから建設コストの上昇に影響し厳しい経営環境となりました。
 2024年度は、新本社ビルとなるTODA BUILDINGのグランドオープンを秋に予定しており、当社グループが新たな歴史を刻む年であるとともに、「中期経営計画2024(以下、中計)」の最終年度として当社グループのマイルストーンとなる重要な年となります。昨年度までに実施してきた戦略経営、働き甲斐改革、サプライチェーン満足、サステナビリティ経営などの成果を発揮することによって企業価値の向上を着実に進めてまいります。
 当社グループは、2031年の150周年を見据え、目指すべき姿として「未来ビジョンCX150」を策定しています。そこでは、ステークホルダーが抱える課題が今後ますます多様化し、これまで以上に解決のスピードが求められる状況が加速していく中で、未来に実現したい社会像を「協創社会」と定義し、当社グループが最も効果的にそのような社会を実現し得る「価値のゲートキーパー」となることを目指しています。
 TODA BUILDINGの持つさまざまな価値ポテンシャルの実現などを通じ、当社グループの力強い未来をしっかりと見定め、未来を創造し社会課題を解決する企業グループとして、新たな歴史の第一歩を踏み出してまいります。

「中期経営計画2024 ローリングプラン」の進捗状況(2022年5月公表)

 現行中計においては、建築、土木および戦略の各基幹事業における顧客への提供価値の進化を進めるとともに、3つの事業を重点管理事業として掲げ、これらの事業へ成長投資を行い事業ポートフォリオの強化をしています。本年度は、「CX150」実現への戦略シナリオにおけるPHASE1の最終年度にあたり、25年以降の収益貢献に向け重点管理事業の一層の推進を図ってまいります。

グループ業績目標と達成状況

 2023年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
 連結売上高については、前期においてPT Tatamulia Nusantara Indah および同社の子会社7社を連結子会社にしたことにより海外グループ会社事業の売上高が増加し、また販売用不動産の売却が増加したことにより国内投資開発事業の売上高が増加しましたが、大型工事の進捗が想定より至らなかったことにより建築事業および土木事業の売上高が減少したことから、5,224億円と前期比4.5%の減少となりました。
 営業損益については、建築事業において前期に複数件の工事で工事損失引当金を計上したことにともなう反動増などにより、売上総利益は655億円と前期比14.4%の増加となりました。また、販売費及び一般管理費は人件費や研究開発費などが増加し476億円と前期比10.4%の増加となりましたが、営業利益は179億円と前期比26.7%の増加となりました。
 経常利益については、受取利息の増加および円安にともなう為替差益など営業外収益が増加したことにより、254億円と前期比33.9%の増加となりました。
 親会社株主に帰属する当期純利益については、環境・エネルギー事業において減損損失および将来発生すると見込まれる損失を計上しましたが、政策保有株式の売却を進めたことによる投資有価証券売却益の計上により、161億円と前期比46.4%の増加となりました。
 この結果、ROEは4.8%(前期3.5%)、労働生産性(個別)は1,284万円(前期1,171万円)と向上しました。また、2023年度配当金につきましては、1株当たり28円(年間:前期27円)と増加したため、配当金総額は86億円(前期84億円)となり、DOE(自己資本配当率)は2.6%(前期2.6%)、総還元性向は84.9%(前期76.5%)と前期を上回る水準となっています。なお、建設受注高(個別)につきましては、主に国内建築の民間工事受注が増加したため、全体では17.4%増の5,007億円となりました。
 今後につきましては、経済情勢は緩やかに持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引き締め政策が継続している中で物価上昇および地政学リスクについては、依然として不透明な状況が続くと予想されます。建設業界においては、官公庁工事および民間工事の受注高がともに堅調に推移すると見込まれますが、建設資材価格は高止まりしており、その動向には引き続き注視する必要があります。このような状況下、当社グループでは、当期の業績予測の達成を目指すとともに、各事業における収益性の向上や冗費圧縮に努めることで中計目標である営業利益330億円に近づけていく所存です。

現行中計の基本戦略

  • 未来ビジョンCX150と連動する「バリューユニット」を基に顧客価値を創出
  • 投資活動強化。原資として資産入れ替え、政策保有株売却加速
  • 脱炭素化に向けたCO2排出削減目標を設定
  • 「時間当たり労働生産性」を採用し、働き甲斐改革を推進
  1. 1付加価値の向上
     業績目標の達成に向け、基幹事業および重点管理事業の付加価値向上により、両輪での成長を目指していきます。
    1. (1)Smart Innovationの推進(基幹事業)

       「技術を売る企業」としての価値向上を目指し、機械化施工、新技術・ICT 利活用を通じた安全性・生産性の向上を図るとともに、BIM/CIM、i-Construction等を活用したDXによる新たなビジネスモデル創造を目指し、2022~ 2024年度の3ヵ年で技術研究開発投資約200億円(年約66億円)を計画しています。

    2. (2)体験価値の向上(基幹事業)

       顧客が建設物を利用するまでの「体験」をデザインし、従来の機能価値の提供を超える新たな顧客価値をつくり出す体験価値(顧客エクスペリエンス)を視野に入れることで、収益成長を目指します。
      その展開領域となるのが、CX150で示されたSmart Innovation以外の3つの領域です。それぞれの領域で、当社グループが提供する具体的な体験価値(バリューユニット)を設定し、社内外連携、オープンイノベーション等によりバリューユニットを基軸として技術・ソリューション開発を推進します。

    3. (3)重点管理事業

       重点管理事業として「新TODAビル(新本社ビル)」「海外事業」「再エネ事業」を特定し、トップマネジメントの積極的関与のもと、中長期的成長による事業ポートフォリオの強化を目指しています。

  2. 2投資計画と資本アロケーション(適正配分)
     投資計画としては、成長・無形資産投資を通じた事業ポートフォリオの強化とともに、目標であるROE(自己資本利益率)8%を中長期的に確保するため、事業別ROIC(投下資本利益率)の採用や投資審査室の設置などにより資本効率の向上を図っています。
  3. 投資計画の達成状況

     2023年度におきましては、中長期的な企業価値の向上に向け、全体で1,045億円の成長投資を実行いたしました。2024年度につきましては、前期同様の金額を予定しており、3ヵ年累計では中計目標に対して290億円の増加となる見通しです。その内訳は、不動産開発投資が61億円増加、五島の洋上風力発電やブラジルでの陸上風力への投資により環境・エネルギーが208億円増加、TATA社の連結子会社化等によりM&Aが39億円の増加となり、成長投資全体として308億円の増加となる見込みです。

    • 成長投資

       不動産開発事業の投資規模を拡大し、今年度の成長投資は全体で915億円となります。うち新TODAビルへの投資が260億円となるほか、当社グループが参画する農業6次産業化を目指す街づくりに取り組む「アグリサイエンスバレー常総」において、新たに温浴施設の建設(2024年度中に開業)などを行います。

    • 無形資産投資

       技術研究開発やデジタル化への投資を行い、生産性向上に役立つ技術開発などを行っているほか、人財開発への投資を行っています。

  4. 3サステナビリティ経営の浸透
     サステナビリティ基本方針を踏まえ、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)それぞれの領域において、非財務目標の重要管理指標を設定し、取り組みを浸透させています。
     E(環境)に関しては、それぞれの目標値を達成(下回る)見通しです。今後カーボンニュートラルへの取り組みを積極的に進め、原単位ベースでの数値も中計目標に少しでも近づくよう努めてまいります。
     S(社会)に関しては、安全性ナンバーワンを目指す企業として高い中計目標を設定しています。安全は中心となる価値であり、1件の重大災害も起こしてはならないという意識を徹底し、目標達成を目指してまいります。
     G(ガバナンス)に関しては、利益向上と総実労働時間の縮減により、中計目標の実現を目指してまいります。

新・中期経営計画に向けて

 当期は、中計の最終年度となり、来期には、新たな中計の発表を予定しています。2025年度からは、未来ビジョンCX150における次のステップであるPhase2「価値の再構築」の段階へと移行します。TODA BUILDINGの運用段階におけるブランド価値の最大化や浮体式洋上風力発電の大型化に向けた技術開発、グローバル事業のさらなる深耕を行い、企業価値の向上を進めてまいります。

“喜び”を実現する企業グループへ

 すべてのステークホルダーの“喜び”の実現を目指すグローバルビジョンの使命を果たすために、150周年を見据えて、多様な変化の時代にステークホルダーの真の満足を追求する姿が、未来ビジョンCX150です。当社グループは、新しい本社ビルとなるTODA BUILDING(2024年秋グランドオープン)の価値ポテンシャルを最大限に活かしながら、サステナビリティ基本方針のもとサステナビリティ経営を重視した持続的な企業活動のあり方を踏まえつつ、価値のゲートキーパーとして、協創社会の実現を目指してまいります。

代表取締役社長
大谷 清介

  • SCIENCE BASED TARGETS DRIVING AMBITIOUS CORPORATE CLIMATE ACTION
  • RE100
  • ECO FIRST
  • BOSS IKUBOSS AWARD 2016