社会 人財開発

人財開発

基本的な考え方

中期経営計画2027では、事業基盤強化投資460億円のうち、人財投資として3年間で累計120億円を計画しており、これは前中計の23億円から大幅な増額となります。この計画は、人財を最重要の経営資源と位置付ける当社の強い意志の表れであり、特に現場を支えるフロントラインに焦点を定め、従業員の成長実感と自律性を促す人財育成を進めていきます。
具体的な取り組みとして、まず階層別研修では各階層の連続性を意識した設計としています。若手層に対しては、自律性を育む「自己発働型社員」の輩出をテーマに研修を展開し、個々の強みを活かし周囲へ好影響を波及させられる自律的人財の育成に注力しています。管理職層には、PM理論に基づくマネジメント手法とヒューマンスキルの習得を軸としたリーダーシップ開発研修を実施。組織力の最大化と円滑なコミュニケーションを促す組織風土を醸成し、次世代リーダーを育成しています。
さらに2026年度からは、経営層への接続を見据え、MBA知識を中心とした課長級選抜研修を新たに計画しました。従来の次世代経営人財育成とあわせ、経営人財の育成パイプラインをより強固なものへと構築してまいります。

人財の育成・開発に関する実績

研修体系について

当社は「多様・多彩な人財を育成・確保し、事業基盤を強化する」を人財開発の基本方針に掲げています。
この方針のもと、育成の主軸であるOJTでは、入社早期から責任ある広範な業務を任せることで、主体的な課題解決力と能力向上を促しています。
Off-JTでは、現行職務のスキルアップ研修に加え、個々のキャリア志向に応じた選択型プログラムを整備し、中長期的な成長を支援しています。特に、周囲に好影響を与えるリーダーシップの早期開発に注力するとともに、管理職層には体系的なマネジメント教育を実施し、適正な組織運営を推進しています。
さらに、「学び」の習慣化と高度な専門性の習得による人財価値・競争力の強化に向け、公的資格や免許、博士号の取得補助制度を拡充しました。対象は現在180種以上にのぼり、一級建築士などの重要資格については入社前の取得費用も補助対象とするなど、従業員の自律的なキャリア形成を生涯にわたり支える仕組みを構築しています。今後も人的資本への投資を加速させ、持続的な企業価値向上を目指します。

階層別研修全体像

自己発働型人財の育成

当社は「人財の価値創造」を実現するため、将来の経営を担う「自己発働型人財」の育成に注力しています。 自己発働型人財とは、当社の未来ビジョンCX150に掲げる「価値のゲートキーパー」そのものです。社会の変化を敏感に捉え、お客さまの潜在ニーズに対して情報や価値を新たに組み合わせることで、企業の持続的成長の源泉となるイノベーションを創出します。 その育成のため、新入社員から年次研修に至るまで、キャリアの早期段階から自己発働のマインドと実践を促すプログラムを実施しています。 また、既存の枠を超えた挑戦を称える表彰制度を設け、功績に報いることで従業員の意欲を高めています。挑戦を促し、成長を支援する。この好循環を生み出す環境を整えることで、個々の成長を尊重し、組織全体の価値創造へとつなげていきます。

自己発働型人財のイメージ

次世代経営人財育成/サクセッション・プラン

当社は、ミッション実現を牽引する「次世代経営人財」の継続的な輩出が、企業価値向上の要であると考えています。その実現に向け、2025年度までに常時50名規模の次世代経営人財候補者プールを構築するという明確な目標を掲げ、これまで99名の育成を実施してきました。今後はさらに早期の選抜研修を課長職へ実施するなど、明確で実行力のあるサクセッション・プランを策定しながら、サステナブル経営の基本となる人財育成を継続していきます。
育成の中核となるのが、各事業本部から選抜されたポテンシャル人財への「伴走型コーチング」です。人事統轄部のキャリアコーチによる定期的な1on1を通じて経験からの学びを最大化し、経営視点を持つ人財へと引き上げます。
さらに、この育成体系は社長の後継者計画と緊密に連携しています。社長職のみならず、事業本部長などの主要ポストにおいても計画的な後継者育成を進めることで、強固なコーポレート・ガバナンス体制と持続的成長を確実なものにしていきます。

伴走型コーチング支援

1on1ミーティングの実施

当社は、上司・部下間において、最低年6回の1on1ミーティングを実施しています。
1on1ミーティングを日常的な部下育成面談と位置づけ、上司による部下の挑戦意欲の引き出しや成果発揮に向けたフィードバック、キャリアプラン実現に向けたアドバイスなど、中長期視点にて部下の成長に向けた双方向の対話が高頻度に実施される風土が醸成されます。また、上司と部下の信頼関係の構築のほか、コンセプトである人財育成の促進や組織コミュニケーションの活性化の実現に繋がることを企図しています。

キャリアコンサルティング

人生100年時代を迎える中、当社においても2023年度より65歳迄の選択定年制度を導入し、再雇用制度を70歳迄拡充するほか、役職定年制度を導入しました。就業期間の長期化を背景として、従業員個々が会社における役割や貢献の仕方を適切に認識したうえで自律的なキャリア構築意識を醸成し、また学習への気づきを誘発することを目的として、節目の年齢における社外のキャリアコンサルタントによる1on1のコンサルティングを導入、実施しています。

キャリアコンサルティングの導入(リスキリング推進)

新事業領域の探索と挑戦を牽引する人財の育成

制度の概要と特徴

当社は、事業創出と中長期的な人財育成を目的として、2022年度より社内ベンチャー制度(プログラム名称“GATE”)を導入しています。本制度は、従業員が提案した新規事業案に対し、会社が予算や施設、バックアップ体制を提供して事業化・会社設立を目指すボトムアップ型の公募プログラムです。採択された従業員はプログラムへの参加を通して、新規事業に明るい外部パートナーによる研修やメンタリングのサポートを受けることができます。新規事業への情熱を持ち続けられるように会社が伴走支援する点が特徴です。

■3年間の実績と制度の強化

本格始動から3期目を迎え、累計約100件の応募から6チームが最終審査を通過し、現在3チームが事業化に挑んでいます。
2025年度からはグループ会社へ対象を拡大し、経営課題に連動したテーマを設定して制度を強化しており、「建設人材」や「施設管理」領域で新ビジネスが形になり始めています。
また非通過者へのメンタリング等を通じ、社内にイノベーターコミュニティを形成し、人財の層を厚くしていきます。

■人財開発のプラットフォーム

本制度は、「未来ビジョンCX150」の体現に向け、新事業の創出・推進を主導できるリーダーを育成する重要なプラットフォームです。ビジネスのリアルな課題に向き合い事業化に挑むプロセス自体が、経営者目線を持った「自己発働型人財」を育てる仕組みとして機能しています。
今後も挑戦をたたえる組織風土を醸成し、次世代の当社を担う人財の計画的な育成を推進します。

DX人財の育成

DXを通じた価値創出を支えるため、社員一人ひとりがデジタル技術やAIを正しく理解し、実務に活かすための教育体制を整備しています。経営層がデジタル活用の方向性を示し、社員がそれぞれの業務課題を起点に変革を実践していくため、経営層向けのデジタルリテラシー研修、データ活用やアプリ開発などの実践型研修、デジタル時代に求められる高度な知識や視点を体系的に学ぶリカレント教育などを、役割や習熟度に応じて展開しています。加えて、eラーニング講座や生成AIパスポートの取得支援を通じて、全社員のDX・AIリテラシー向上を図り、組織全体で自ら課題を捉え、デジタルの力で解決策を生み出せる人財の育成を進めています。

■経営層向けデジタルリテラシー研修

AIやデジタル技術の可能性とリスクを理解し、経営判断に活かすための視点を養う研修です。経営層自らがDXの方向性を示し、各部門の変革を後押しするための知識と判断力を高めます。

■リカレント研修

東洋大学情報連携学部(INIAD)と連携し、デジタル時代に求められる高度な知識や視点を体系的に学ぶ教育です。実践的なデジタルスキルの習得を通じて、変革を自ら推進するための思考力・構想力・自走力を養います。

■アプリ開発研修

業務課題の解決につながるアプリ開発の基礎から実践までを学ぶ研修です。ノーコード・ローコードツールなどを活用し、開発の考え方や進め方を身につけることで、デジタルを活用した改善や価値創出を自ら形にする力を育みます。

■データアンバサダー研修

データの見方・扱い方から、分析、業務への活用までを実践的に学ぶ研修です。データに基づいて課題を捉え、より良い判断や改善につなげる力を養い、各部門におけるデータ活用を推進します。

職種別の専門人財育成

当社の職種別の人財開発は、OJTでの育成を主体とし、若いうちから仕事を任せ、幅広い責任のある業務を担当させ、業務上の課題を自ら解決していくことで、能力向上を図っています。また、建築技術系社員は最も長い場合、入社から10年間で延べ2年ほどの研修を実施するなど、社員の成長の各段階に合わせて専門知識や技術を習得する場を設け、且つ、日常業務(現場)から離れた集合研修とすることにより、計画的に、そして効果的にレベルアップを促すプログラムとなっています。
また、人財育成については研修参加者にアンケート調査を実施したり、OJTを行う部門と連携するなど研修内容や人財育成制度をPDCAサイクルを通じてよりよい内容、制度にするべく改善を行っています。

能力開発体系

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新入社員研修の様子
部門経営者研修の様子

コース変更、自己申告制度

意欲ある人財の活用により、社員のモチベーション向上と組織の活性化を図るため、コース変更制度と自己申告制度を設けています。

コース変更制度
原則毎年1回の選考を実施しています。更なる活躍領域の拡大・モチベーション向上等を目的として制度の運用を行なっており、2025年度は24名が合格してコース変更をしました。今後はこれら合格者の異動等を含めた人財・能力の有効活用を行うことにより、更なる生産性向上を図っていきます。

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自己申告制度
全職員がイントラネットを利用して、随時異動希望情報等を申告できるようになっており、適正配置と人財の有効活用にその情報を活かしています。

これら制度により、将来管理職となる資質を持つ人財や高度な専門知識を持つ人財の発掘・有効活用、また意欲のある職員への活躍の場の提供など、多様性を持つ強い組織構築の一環として制度を運用しています。

多様な人財の活躍

当社は、戸田建設グループ各社および協力会社の社員等、広く関係する人々のゆとりと豊かさを実現し、安全で働きやすい環境を確保するとともに、人格・個性を尊重することで、多様性を理解し、資質・能力を最大限発揮できる職場環境の実現を行動憲章に掲げ、取り組みを進めています。国内における当社の事業領域は全域に広がっており、主要都市部に店社を設置する他、営業所や作業所などの事業所を各地に設置しています。当社では、地域貢献や育児・介護等の社員の就労観の多様化に対応できるよう全国型とエリア限定型の選択が可能となっており、全国型からエリア限定型へのコース変更も本人の疾病、家族の介護や育児等の事情を尊重し、随時対応しております。
その他、2021年度より、地域企業の経営人材の確保と地域経済の活性化を目的とした金融庁の「地域企業経営人材マッチング促進事業」に参画し、当社を退職する社員を対象としてセカンドキャリアの選択肢を案内する仕組みを新設するなど、地域雇用の創出にも努めています。
また、グループ会社においても東和観光開発(株)の運営する観光施設(マリッサリゾート サザンセト周防大島(山口県))では地域雇用を実現しています。
海外においては当社の海外建設事業は本邦ODA工事と各国の現地法人を拠点として事業を展開しています。それぞれの国において建設を通じて社会貢献を行うという使命のもと、現地での従業員の雇用・育成を行っています。特に現地法人においては、「現地化」を推進するため、現地従業員を日本に集めて行う長期研修制度を構築・実施するなどして地域発展のための人財育成に力を入れています。また、育成方針として重要視していることは、日本語学習を通した日本文化・商習慣理解であり、コートジボワールでは積極的な人財育成も行っています。

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女性の登用

社員が性別にかかわらず持てる能力を発揮できるよう、女性総合職の活躍・促進に取り組んでいます。2026年4月には建築技術系で32名、土木技術系で6名、事務系で8名の新入社員が加わりました。作業所での施工管理職など、それぞれの職場での活躍を期待し、教育や配置などの育成にも力を入れています。

作業所で働く女性技術者の様子

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障がい者雇用の促進とノーマライゼーション社会の実現

当社では障がい者個々が職場に適応・定着できるよう、障がいの状態に配慮した雇用条件や職場環境を用意し、また個々の能力を考慮した仕事・職場の提供に努めるなど、継続的に障がい者雇用の促進に取り組んでいます。
また法定雇用率の達成に向け、2013年4月より毎年知的障がい者の新たな雇い入れを行っており、就業継続のための教育を重視しています。2015年4月には、知的障がいのある社員が事務作業や清掃等を行うビジネスサポートセンターを設置し、職域拡大や雇用定着に努め、真のノーマライゼーションの定着に向けて取り組んでいます。

障がい者の現場実習の実施

軽度知的障がいのある子どもの企業就労を目標として、特別支援学校を中心に、2011年度から職場体験実習の受け入れを開始しました。この実習を通じて生徒が社会ルールや職場マナー等を体験し、就職に向け実際に働くイメージをもってもらいます。実習時には先生だけではなく保護者の方にも見学の機会をつくり、職場理解を深めていただいています。
実習の受け入れに際しては、障がいのあるなしにかかわらず「働きやすい職場づくり」について、社員一人ひとりが改めて考える機会となり、継続的な取り組みに繋がっています。

障がい者雇用率/特別支援学校の職場体験実習の受入数データはこちら

再雇用制度

高い就労意欲と能力を有する定年退職者の再雇用に取り組んでいます。再雇用された社員は、さまざまな部署において、長年にわたり培ってきた豊富な経験、知識をもとに、次代を担う社員に対しての教育や、技術の伝承を確実に行うなど、重要な役割を果たしています。また、再雇用後において人事考課制度を導入し、成果に基づいた賞与を支給することで業務に対する更なるモチベーションアップを図っています。

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