社会 人財開発

人財開発

基本的な考え方

「中期経営計画2024ローリングプラン」の一環として、人財の育成・開発を強化する方針を定め、来る150周年に向けて、2022年度から2024年度までの3ヵ年で累計30億円の人財投資を行う計画としています。また、従業員の成長実感を促し、自律性を育むほか、将来の戸田建設を担う次世代経営人財を計画的に育成・輩出するために、2022年度より階層別研修Off-JT(Off the Job Training)を大幅に刷新し、研修受講者や時間も年々増加しています。また、職種別専門研修についても見直しを行い、各事業領域において人財投資を積極化しています。
すべての年代・職種に対して自律的なキャリア構築意識を醸成し、学習への気づきを誘発するためのキャリアコンサルティング制度やリスキリング制度もその一環であり、継続的な改善による個々の能力・価値の向上を図ります。

人財の育成・開発に関する実績

研修体系について

当社は、人財開発・育成の基本方針を、「多様・多彩な人財を育成・確保し、事業基盤を強化する」と定めています。その観点より、OJT(On the Job Training)による育成を主体に、若いうちから仕事を任せて幅広い責任のある業務を担当させ、業務上の課題を自ら解決する経験を積むことで、一人ひとりの能力向上が促進されると考えています。
Off-JTでの人財育成では、現行職務におけるスキルアップを主目的とする研修プログラムと、一人ひとりのキャリアアップの志向に合わせて選択できる開発プログラムを整備し、目先の業務だけにとらわれず中長期的な個人の成長を促しています。
また、「学び」を習慣化し、より高度な専門知識・能力の習得を促すために、人財価値や競争力の強化を図ることを目的として、公的資格や免許、博士号の取得補助制度を拡充し、その対象は現在200種以上となっています。特に、一級建築士など重要な資格については入社前の取得費用も補助対象とするなど、キャリア全体において個人の成長を支え、キャリアの自律を促す仕組みを整備しています。

階層別研修全体像

自己発働型人財の育成

当社は「人財の価値創造」に向けて、重要な業務の担い手になり得る経営人財を継続的に輩出するべく、自己発働型人財の育成に注力しています。自己発働型人財は、企業の持続可能な成長とイノベーションを支える基盤となります。
未来ビジョンCX150における「価値のゲートキーパー」を担う人財として、お客さまの潜在ニーズに対し、社会状況、環境、文化を踏まえ、今ある情報、技術を組合せて、新たな価値を創造していきます。
その経営人財の輩出のため、係員級の階層別研修では新入社員、3年次、6年次研修において、自己発働型人財を自身で定義し実践します。
また、自己発働型人財の表彰において、既存の枠組みを越えて、自己発働的に業務に取り組んだ個人を表彰し、その功に報いることにより、モチベーションを高めるといった仕組みを整備しています。自己発働型人財の育成に注力することは、競争が激化する市場環境において、今後も当社が他社との優位性を確保して成長し続けるために不可欠な取り組みです。

自己発働型人財のイメージ

次世代経営人財育成/サクセッション・プラン

ミッションの実現に向けて当社を牽引する「次世代経営人財」を継続的に輩出することが、技術革新などを通じた提供価値の向上、ひいては当社の企業価値の向上につながると考えています。
当社では、次世代経営人財候補者が常時50人程度プールされている状態を2025年度までに実現するために、全社横断的な取り組みを実施しています。
具体的には、毎年度、各事業本部において選抜されたポテンシャル人財50人に対し、伴走型コーチングを中心に効果的な育成施策を展開することにより経営人財としてプールします。伴走型コーチングにおいては、人事統轄部に所属する社内のキャリアコーチが1on1の定期的・継続的なコーチングを実施し、経験学習サイクルを促進しています。
また、コーポレートガバナンス体制の確立に向けて、社長の後継者計画(サクセッション・プラン)の策定にも着手しています。
なお、後継者計画は、伴走型コーチングによる次世代経営人財育成の仕組みを接合、発展させるもので、各事業本部長や統轄部長などの重要なポジションについても、計画的な後継者の育成や配置を推進しています。

伴走型コーチング支援

1on1ミーティングの実施

当社は、上司・部下間において、最低年6回の1on1ミーティングを実施しています。
1on1ミーティングを日常的な部下育成面談と位置づけ、上司による部下の挑戦意欲の引き出しや成果発揮に向けたフィードバック、キャリアプラン実現に向けたアドバイスなど、中長期視点にて部下の成長に向けた双方向の対話が高頻度に実施される風土が醸成されます。また、上司と部下の信頼関係の構築のほか、コンセプトである人財育成の促進や組織コミュニケーションの活性化の実現に繋がることを企図しています。

キャリアコンサルティング/リスキリング

人生100年時代を迎える中、当社においても2023年度より65歳迄の選択定年制度を導入し、再雇用制度を70歳迄拡充するほか、役職定年制度を導入しました。就業期間の長期化を背景として、従業員個々が会社における役割や貢献の仕方を適切に認識したうえで自律的なキャリア構築意識を醸成し、また学習への気づきを誘発することを目的として、節目の年齢における社外のキャリアコンサルタントによる1on1のコンサルティングを導入、実施しています。
また、デジタル化の進展やVUCAの時代への対応にともない、価値提供のプロセスが大きく変わり、求められるスキルや能力が変化しています。当社は、従業員が変化に対応して現行業務で求められるスキルを獲得して、それにより価値創造が続けられるよう、キャリアコンサルティングの受講者のうち希望者について、いつでも自発的に学び直しができるリスキリングのプログラム(e-ラーニング)を導入しました。

キャリアコンサルティングの導入(リスキリング推進)
キャリアコンサルティングの導入(リスキリング推進)

職種別の専門人財育成

当社の職種別の人財開発は、OJTでの育成を主体とし、若いうちから仕事を任せ、幅広い責任のある業務を担当させ、業務上の課題を自ら解決していくことで、能力向上を図っています。また、建築技術系社員は最も長い場合、入社から10年間で延べ2年ほどの研修を実施するなど、社員の成長の各段階に合わせて専門知識や技術を習得する場を設け、且つ、日常業務(現場)から離れた集合研修とすることにより、計画的に、そして効果的にレベルアップを促すプログラムとなっています。
また、人財育成については研修参加者にアンケート調査を実施したり、OJTを行う部門と連携するなど研修内容や人財育成制度をPDCAサイクルを通じてよりよい内容、制度にするべく改善を行っています。

能力開発体系

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新入社員研修の様子
部門経営者研修の様子

営業社員研修の実施

建築営業統轄部、土木営業統轄部、それぞれ、営業に着任した社員を対象により専門的な内容の研修を実施しています。

建築営業統轄部・建築営業初級社員研修では、本社にて2日間、営業部に関係する部署の部門長に講師を依頼し組織構成や各部門の役割、営業部門に求められる役割等について研修を行っています。

面談スキル研修では、建築営業部、土木営業部、戦略事業本部の合同研修として、南砂研修所にて2日間、外部講師による研修を行い、顧客の要望事項と懸念事項を把握する質問力を高めること、顧客ニーズに対する提案のスキルを高めること、かつ自己発動型社員を育成することを目的に集合型研修を実施しています。

開発営業に関しましては、建築営業初級社員研修の終了者のうち、中級以上の営業担当者を対象として各支店より選抜招集し、講師(本社建築営業統轄部・開発営業関連部門各担当者)とフェイス・トゥ・フェイスの形式で不動産の知識や取組み事例による実践方法等を教育しています。

医療福祉部では、年3回、全国医療福祉担当者会議と称する勉強会を支店、本社の医療福祉担当者の参加(リモート含む)で継続実施しています。

その他、「技術研修会」をイノベーション推進統轄部、設計統轄部、エンジニアリングソリューション統轄部等と協働し、年5回程度、全営業社員対象にオンライン形式で実施しています。

建築営業初級社員研修

コース変更、自己申告制度

意欲ある人財の活用により、社員のモチベーション向上と組織の活性化を図るため、コース変更制度と自己申告制度を設けています。

コース変更制度
原則毎年1回の選考を実施しています。更なる活躍領域の拡大・モチベーション向上等を目的として制度の運用を行なっており、2023年度は10名が合格してコース変更をしました。今後はこれら合格者の異動等を含めた人財・能力の有効活用を行うことにより、更なる生産性向上を図っていきます。

コース変更・登用合格者数データはこちら

自己申告制度
全職員がイントラネットを利用して、随時異動希望情報等を申告できるようになっており、適正配置と人財の有効活用にその情報を活かしています。

これら制度により、将来管理職となる資質を持つ人財や高度な専門知識を持つ人財の発掘・有効活用、また意欲のある職員への活躍の場の提供など、多様性を持つ強い組織構築の一環として制度を運用しています。

多様な人財の活躍

当社は、戸田建設グループ各社および協力会社の社員等、広く関係する人々のゆとりと豊かさを実現し、安全で働きやすい環境を確保するとともに、人格・個性を尊重することで、多様性を理解し、資質・能力を最大限発揮できる職場環境の実現を行動憲章に掲げ、取り組みを進めています。国内における当社の事業領域は全域に広がっており、主要都市部に店社を設置する他、営業所や作業所などの事業所を各地に設置しています。当社では、地域貢献や育児・介護等の社員の就労観の多様化に対応できるよう全国型とエリア限定型の選択が可能となっており、全国型からエリア限定型へのコース変更も認めており毎年社員のニーズを尊重して対応しています。
その他、2021年度より、地域企業の経営人材の確保と地域経済の活性化を目的とした金融庁の「地域企業経営人材マッチング促進事業」に参画し、当社を退職する社員を対象としてセカンドキャリアの選択肢を案内する仕組みを新設するなど、地域雇用の創出にも努めています。
また、グループ会社においても東和観光開発(株)の運営する観光施設等(マリッサリゾート サザンセト周防大島(山口県)、リヴェルト京都鴨川(京都府))では地域雇用を実現しています。
海外においては当社の海外建設事業は本邦ODA工事と各国の現地法人を拠点として事業を展開しています。それぞれの国において建設を通じて社会貢献を行うという使命のもと、現地での従業員の雇用・育成を行っています。特に現地法人においては、「現地化」を推進するため、現地従業員を日本に集めて行う長期研修制度を構築・実施するなどして地域発展のための人財育成に力を入れています。

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女性の登用

社員が性別にかかわらず持てる能力を発揮できるよう、女性総合職の活躍・促進に取り組んでいます。2024年4月には建築技術系で25名、土木技術系で4名、事務系で7名の新入社員が加わりました。作業所での施工管理職など、それぞれの職場での活躍を期待し、教育や配置などの育成にも力を入れています。

作業所で働く女性技術者の様子

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障がい者雇用の促進とノーマライゼーション社会の実現

当社では障がい者個々が職場に適応・定着できるよう、障がいの状態に配慮した雇用条件や職場環境を用意し、また個々の能力を考慮した仕事・職場の提供に努めるなど、継続的に障がい者雇用の促進に取り組んでいます。
また法定雇用率の達成に向け、2013年4月より毎年知的障がい者の新たな雇い入れを行っており、就業継続のための教育を重視しています。2015年4月には、知的障がいのある社員が事務作業や清掃等を行うビジネスサポートセンターを設置し、職域拡大や雇用定着に努め、真のノーマライゼーションの定着に向けて取り組んでいます。

障がい者の現場実習の実施

軽度知的障がいのある子どもの企業就労を目標として、特別支援学校を中心に、2011年度から職場体験実習の受け入れを開始しました。この実習を通じて生徒が社会ルールや職場マナー等を体験し、就職に向け実際に働くイメージをもってもらいます。実習時には先生だけではなく保護者の方にも見学の機会をつくり、職場理解を深めていただいています。
実習の受け入れに際しては、障がいのあるなしにかかわらず「働きやすい職場づくり」について、社員一人ひとりが改めて考える機会となり、継続的な取り組みに繋がっています。

障がい者雇用率/特別支援学校の職場体験実習の受入数データはこちら

再雇用制度

高い就労意欲と能力を有する定年退職者の再雇用に取り組んでいます。再雇用された社員は、さまざまな部署において、長年にわたり培ってきた豊富な経験、知識をもとに、次代を担う社員に対しての教育や、技術の伝承を確実に行うなど、重要な役割を果たしています。また、再雇用後において人事考課制度を導入し、成果に基づいた賞与を支給することで業務に対する更なるモチベーションアップを図っています。

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