浮体式洋上風力発電事業 Vol.2 国内初!浮体式洋上風力発電設備を実用化
五島市と五島フローティングウィンドパワー合同会社(戸田建設の100%子会社)は、長崎県五島市崎山漁港の沖合において、2016年3月に国内初となる浮体式洋上風力発電設備を実用化し、商用運転を継続しています。
設備の概要
設備名称 | 崎山沖2MW浮体式洋上風力発電所 |
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所在地 | 長崎県五島市下崎山町崎山漁港の沖合(約5.0km) |
所有者 | 五島市 |
運転管理者 | 五島フローティングウィンドパワー合同会社(戸田建設の100%子会社) |
船名 | (非自航船)はえんかぜ |
風力発電機 | ダウンウィンド型 HTW2.0-80(日立製作所) |
浮体施設 | 構造形式:ハイブリッドスパー型/係留:3点係留カテナリー方式 |
特徴及び形状寸法
浮体式洋上風力発電設備は、スパー型と呼ばれる細長い円筒形状の浮体構造の上に、風車及びタワーが海上に突出して固定され、3本のチェーンで海底に係留されています。
浮体構造の上部には鋼、下部にはコンクリートを使用する、九州大学・戸田建設グループによって開発された「ハイブリッドスパー型」と呼ばれる形式を採用しています。コンクリートは水圧や海水にも強いため、これを浮体下部に用いることでコストダウンを図るとともに、重心を下げ安定性も向上させています。
発電設備の形状・寸法は、海中の一番深いところから風車翼(ブレード)の先端までの全長が172mで、海面上に浮いて見える部分の高さは96mです。また、円筒部の最大直径は7.8m、総重量は約3,400トンです。
経緯及び今後について
2010~2015年度の環境省浮体式洋上風力発電実証事業において、国内初※の2MW級浮体式洋上風力発電設備となった「はえんかぜ」は、地元の方々、漁業関係者の皆様等のご理解・ご協力のもと、五島市の椛島沖に設置され、安全で環境への影響が小さい施設であることが確認されました。
2015年度の事業終了後は、五島市再生可能エネルギー基本構想のもと、浮体式洋上風力発電の普及促進を目指し、五島市と五島フローティングウィンドパワー合同会社が共同で、発電所の運転を継続しています。
五島市と五島フローティングウィンドパワー合同会社は発電データの収集や更なる運転維持管理の知見蓄積を行い、地域と浮体式洋上風力発電の発展に貢献していきます。
※2013年10月に商用運転を開始
(参考)NHKワールドニュース「洋上風力発電」(2016年6月6日放送 Editor's Pick)
国内初の燃料電池船を開発
2014~2015年度、環境省 浮体式洋上風力発電実証事業において、浮体式洋上風力発電による電力を活用した水素の製造・貯蔵・運搬の実証を実施しました。さらに、環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業(小型船舶の低炭素化(燃料電池)の技術開発・実証)において、国内初となる燃料電池船を開発し、離島におけるエネルギーの利活用や漁業との協調など、地域の発展に資する再生可能エネルギーの実現にも取り組みました。