Zoom UP 現場
市道尾浦浅藻線道路改良工事(トンネル)

島民からの期待と地域との共生

九州北部対馬の美しい自然と豊かな歴史の中で、地域インフラを築き続ける戸田建設。その歩みは、対馬空港・厳原トンネルと、島の交通や暮らしの向上に大きく貢献してきました。地域と共に歩む当社の挑戦は、対馬の未来を支える新たな道をつくります。

長崎県対馬市

対馬と戸田建設

九州の北、玄界灘に位置する長崎県対馬。この島は、リアス式海岸に囲まれた美しい風景と、ツシマヤマネコなどの希少な動植物を育む豊かな自然が特徴です。また国境の島として、古来より交易や防衛において重要な役割を担ってきた。
この対馬と当社の関わりは深く、現在「対馬やまねこ空港」の愛称で親しまれている対馬空港は、当社の施工により1983年に完成したものである。それまで交通手段が船に限られていた島民にとって、この空港は長年待ち望んだものであった。また、島の大動脈である国道382号線上には、延長1,102mの「厳原(いづはら)トンネル」があり、対馬の行政・文化の中心である厳原と空港の間に位置するこの重要なトンネルは、2001年に当社施工により完成した。

そして現在、当社が島の南側で建設を進めているのが「市道尾浦浅藻線道路改良工事(トンネル)」(仮称:安神トンネル)である。現場を指揮する作業所長は、若い頃に工事係員として「厳原トンネル」の工事に約2年間携わり、今回、約25年の歳月を経て再び対馬のトンネルを手掛けている。
「休日、ごくたまにお酒を飲みに街に出ることもあるのですが、そうした時にお店で一緒になる島の方々からは、『戸田建設さん?ああ、空港をつくってくれた会社だね!』と歓迎されます。また、今手掛けている工事についても『早く良いトンネルをつくってよ!』と笑顔で言われます。歴代の先輩方が培ってきた当社に対する信用を、さらに次に繋げるという意識で仕事をしています」と作業所長は話す。(以下、「」内は作業所長)

作業所長
作業所長

島内唯一のクリーンセンターに至る道の整備事業

「現在工事を行っているのは島の南に位置する安神(あがみ)地区という場所です。ここには島内唯一のゴミ焼却場である対馬クリーンセンターがあり、全島のゴミ収集車が毎日この施設に走ってきます。しかし、島の中心である厳原の少し先までは綺麗な道路が整備されているのですが、そこからこの地区へと続く道が非常に狭く急な山道で、交通事故の危険性が非常に高いのです。地区の方々の長年の要望もあり、現在対馬市がこの区間の道路整備事業を進めており、その一部としてこのトンネル工事が発注されたという経緯です」。

今回、私たち取材班も現在使用されている狭く曲がりくねった山道を通って現場を訪れたが、この道を大型のゴミ収集車が日常的に走り、住民の車とすれ違うのは大変危険だと感じた。このトンネルを含めた新しい路線が整備されることにより、地域住民の安心・安全が実現される。
「このトンネル工事の発注者は対馬市ですが、市の工事で年度を跨ぎ、これだけ総工費の高いものは珍しく、市民の皆さんからの期待も大きい工事になります」。

基礎躯体工事
現場に隣接する対馬クリーンセンター
基礎躯体工事
安神地区に「あんしん」をもたらす工事のキャッチコピー

島内の会社と力を合わせる工事

基礎躯体工事
坑口の上に設置された化粧木
坑内の様子
坑内の様子

この工事は延長1,438m、うちトンネルが1,418mを占める。本工事の特徴のひとつは地山が硬いということ。対馬は、その地質の大部分が、大昔の日本海が形成された時期に海底に積もった泥岩や砂岩(堆積岩)で構成されているが、下島(対馬の南側)の南には、それらが熱により変性したホルンフェルスという極めて硬い変成岩があり、現場の地山も主にこの岩から構成されている。そこで今回の工事では機械ではなく、発破工法による掘削を行っている。

また、もうひとつの特徴として5%弱の比較的急な登り勾配の掘削であることが挙げられる。このため、トンネル壁面にコンクリートを打設する移動式の型枠「セントル」がレール上で滑らないように、通常2駆で動かすところを4駆にする対策を行っている。

地質平面

「トンネルとしてはそれほど難易度の高い工事ではありませんが、島内にはトンネル工事の経験がない会社もあります。このため、まずは当社のルールをしっかりと守ってもらうかたちで日々の安全管理を行っています。おかげさまで現在まで災害ゼロが続いていますので、このまま無事に完工させて、この現場が今後の島内のお手本になると良いですね」。

戸田建設の社員、JVの職員、島内外の作業員の全員が力を合わせて工事を進めるこの現場。作業所長は、自身が様々な人に積極的に話しかけることで、所属の垣根を超えて一丸となるように意識しているそうだ。

建設会社とのJV
今回の工事は対馬の建設会社とのJVにより進められている
安全周知の看板
安全を周知する現場の看板。現在約30人の作業員が働いている

対馬の皆さんの笑顔のために

作業所長は、「現在、掘削が全体の2/3にあたる900mまで進み、覆工コンクリートの施工も始めました。6月に貫通を迎えますが、その後も工事は続きますので、まだまだ先は長いですね」と話す。 現場近くには20戸ほどの住宅があるが、発破による音の問題を含めて、工事に対しては最大限の理解と協力をしていただいているそうだ。
「住民の方々は、それだけ完成を待ち望んでいらっしゃるということだと思います。少しでも早く、良いトンネルをつくって皆さんに喜んでいただきたいと思います」と話す作業所長。貫通式とは別に、地元の方々を現場に招くイベントも計画している。

私たちが作っています

作業所長
作業所長 H・H
「作業所長という仕事の醍醐味」

確かに、作業所長は全責任を負う立場としてプレッシャーを感じない、ということはありません。ただ、その分、現場をやり遂げた後の達成感は、経験した人でないと分からないと思います。是非、現場の若手社員は作業所長という立場を目標に、日々の業務に励んでもらいたいです。

発注者、地元、協力業者、社員…全て人との係わり合いで現場は成り立っていると思っています。まさに「人がつくる。人でつくる。」です。人間関係も勿論上手くいかない時もあります。そんな時こそ作業所長の力を発揮し、全ての人に満足してもらえるよう尽力する。それも作業所長という仕事の醍醐味の一つです。

集合写真

かたちの違うパズルのピース組み立てて、円滑に現場が進むように心がけています。

常に切羽の状況を確認しながら工事を進めております。私たちが先頭に立ち、無事故無災害を実現します。

覆工を担当しております。作業員とコミュニケーションを取りながら、いいコンクリートが打設できるように、日々励んでおります。

工事概要

工事名称 市道尾浦浅藻線道路改良工事(トンネル)
発注者 長崎県対馬市
施工者 戸田・イチケン・大石 JV
工期 2023年3月〜2025年11月
概要 工事延長:1,438m
トンネル延長:1,418m NATM発破工法
掘削支保:(記号は断面図を参照)
B:95m CⅠ:826.4m CⅡ-b:190m
DⅠ-b:184m DⅢa:49.5m
DⅢa-S:18.5m CⅠ-L:26.8m×2ヶ所 掘削断面積:50.0~68.2m2(設計)
掘削補助工:注入式フォアポーリング L=3.0m 13シフト
残土処理:66,740m3 指定土捨場 L≒5km
その他:坑門工 舗装工 排水構造物工ほか