タンバクンダ州
およびケドゥグ州
保健施設整備計画
アフリカの地の発展を目指して
平原が広がるアフリカ・セネガルの南東部。現在この国で4つの施設の建設工事が同時に進められている。言葉や習慣の違いを乗り越えながら、地域の人々の生活に大きく貢献するために着実な工事が続く。
長きにわたり地域の教育と医療に貢献
アフリカ大陸の最西端に位置するセネガル共和国。人口約1,270万人。アフリカの国々の中では経済的にも政治的にも安定しており、治安も良い。主な産業は綿花や落花生。漁業も盛んで、セネガルから輸出された海産物が日本のスーパーにも並んでいる。
この国において当社は実は長い歴史を持っている。初めて同国で工事を行ったのは1983年。首都ダカールで「職業訓練センター」を建設。その後も7つの小学校プロジェクトや「在セネガル日本国大使館」など複数の建設工事を担当している。
現在、当社は同国で4つの施設を同時進行で建設中だ。日本国のODA(政府開発援助)による無償援助工事で、良質な医療の提供を目的として、サラヤ、マカ・コリバンタン、ジャンケ・マハの3つの地域に「保健センター」を、タンバクンダには「人材育成センター」を整備する事業である。保健センターは内科に外科、産科、歯科などさまざまな診療科を持つ医療施設。人材育成センターは保健センターなどで働く人材を育てる教育機関である。「どちらも公共性の高い施設。現地の人々からは大きな期待を寄せられています」と作業所長は話す。
アフリカならではの独特な工法を採用
人材育成センターは2階建て、3つの保健センターは平屋建てで、すべてCB(コンクリートブロック)組積造である。4施設ともアフリカならではの工法が採用されている。「ウルディスラブ工法」である。スラブをつくる際、小梁をかけてその上に「ウルディブロック」を載せ、その後コンクリートを打設する。日本では型枠工事(ベニヤで型枠を作ってコンクリートを打設する)が一般的だが、アフリカでは質の良いベニヤが少なく、しかも高価。ウルディスラブ工法ならばベニヤが不要で、打設するコンクリートの量も少なくて済むのでコスト面でも優れる。なにより現地の作業員が慣れているためこの工法を採用している。「アフリカでは一般的な工法ですが、最初は驚きましたよ」とメンバーは笑顔を見せる。
コンクリートは各現場で練っている。「セメントと砂、砂利を現場に持ち込んで小さなミキサーで練っていきます。日本とは大違いでしょう」と作業所長は楽しげだ。もちろん、定められた規格を満たせるよう日本と同様に厳密な管理がなされている。
異国の地だからこその苦労が伴う
4つの現場を束ねる事務所はタンバクンダにある。この街はセネガル東部の交通の要衝であり、各地へのアクセスが良い。ただ、アクセスが良いと言っても日本とは尺度が違う。サラヤの作業所までは車で4時間かかる。また、ジャンケ・マハまでの道は赤土を踏み固めただけの悪路。タイヤが泥にとられてはまってしまうこともある。「仕上げ材を運ぶのに支障を来して工程が遅れる可能性があります」と作業所長は懸念を示す。
異国ならではの苦労はやはり言葉。セネガルでは、公用語のフランス語と現地語のウォロフ語を使う人が多い。施主との会議など、重要な場合には通訳を介すが、普段は「片言のフランス語、決して流暢ではない英語、そして身振り手振りでコミュニケーションをとっています」とメンバーは笑う。
医療の充実、そして技術の蓄積のために
4施設の建設はセネガルにとっても非常に大きなプロジェクトである。国の保健大臣が視察に訪れ、同時にテレビ局も取材に来る。地域の人々だけでなく、国全体が施設の完成を心待ちにしている。「この国では病院に行くことがないままお産をする妊婦が多く、母子ともに死亡率が高い。医療レベルは高いとは言えません。これらの施設ができることで、人々の命と健康を守ることができればと願っています。同時に、戸田建設が持ち込んだ技術を現地の作業員に学んでもらい、セネガルの施工技術の向上にも寄与できることが理想です」と作業所長は使命感を見せる。日本から遠く離れたアフリカの地で、戸田マンたちの奮闘が続いている。
私たちが作っています
工事概要
工事名称 | セネガル共和国タンバクンダ州およびケドゥグ州保健施設整備計画 |
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発注者 | セネガル共和国保健予防省医療機材局 |
設計 | (株)大建設計 |
施工者 | 当社単独 |
工事期間 | 2009年9月~2011年10月 |
概要 |
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