低層部にアーティゾン美術館、上階にオフィスが入るこの超高層ビルは、隣接する当社新本社ビルの建設計画とともに京橋一丁目東地区の再開発プロジェクトとして進められている。“まちに開かれた、芸術・文化拠点の形成”をテーマの一つに掲げたこのプロジェクトは、二つの建物の間を公開空地として、低層部のにぎわいが街に染み出し、共鳴し合う構成となっている。先行して建設中のこの超高層ビルは2019年6月に完成する予定で、その後、当社新本社ビルが2023年度に完成すると、銀座と日本橋をつなぐこの街区が東京の新名所として生まれ変わる。

現場を指揮する作業所長はこう話す。

「先代のブリヂストンビルも時代を先取りしたとても先進的なものでしたが、今回もそうしたお施主さまの建築に対する深いこだわりが随所に散りばめられた特別仕様の建物になっています」。

まずは外装。近年のオフィスビルはアルミカーテンウォールによるシンプルな構成が一般的だが、このビルでは高層部にデザイン性が高いアルミルーバー、低層部に重厚なスチールカーテンウォールが用いられ、多彩な表情を見せる。

「例えば私たちが大方立（だいほうだて）と呼んでいる、低層部の中央通り側に用いられる外装材があります。1本の長さが19m、重さ10トンもあるこの部材は、長野、千葉、神奈川の各県を行き来して加工や組み立てが行われ、完成後に長野から京橋の現場まで1泊2日かけて運搬し一晩に2本ずつ搬入されます。これが全部で15本。この一例だけでも、どれだけこだわりが深い建物か想像がつくと思います」。（作業所長）

美術館部分には豪華な仕上げが施され、また45×28mの無柱のオフィス空間もPCa版のコンクリートが現しの重厚な空間として構成される。