建設工程~ その3-3 ~実験【振動台試験】

前回にひきつづき、戸田建設の技術研究所での実験の模様を紹介していきます。

今回は「ようかん」の振動台試験です。
この振動台試験は、建築資材が地震に対してどのくらい強いかをテストする実験です。
使用するのは、この振動台。

実験のために、ようかんで実際の建物を模した3階建てのフレームを作りました。
このフレームを振動台で揺らし、その振動特性を調べます。

普段は、鉄で製作したこんな模型を揺らして実験しています。

同じように、ようかんを組み立てていきます。

完成!!
フレームの屋上と1Fに加速度センサーを設置!
そして、地震の大きさをリアルタイムで計測するために「ユレかんち」もセット!
ようかんの柱は断面が2cm×3cm(Aタイプ)と、3cm×3cm(Bタイプ)の2タイプを用意して、振動特性を比較します。
ちなみに、もっと細い2cm×2cmの柱も作ってみましたが、ヘナヘナで立ちませんでした。。

AタイプとBタイプはしっかり自立し、準備万端。それではおそらく世界初の試み!
ようかんを振動台で揺らしてみましょう。

モニターに熱い視線を送る二人。

実験完了!

加速度センサーの結果が出ました!
上が細いAタイプで、下が太いBタイプのグラフです。

2つのグラフの波形の最大値を比べると、柱が太いBタイプの方が大きく揺れていることが一目瞭然です。

東日本大震災時の東京での加速度が228cm/s2なので、Bタイプは約1.9倍!けっこう揺れました。

さらに詳しく分析した結果、2タイプの柱は最も揺れたピークの振動数がそれぞれ違いました。

これは揺れ方でいうと、Aタイプはゆっくりとユラユラ揺れ、
Bタイプは小刻みにカタカタ揺れる
ような違いを表しています。

建物には揺れやすい独自の振動数があり、その振動数に近い地震動を受けると建物は共振してよく揺れます。
今回の実験に用いた地震動は5Hz付近の成分が大きかったため、最も揺れるポイントが5Hzに近いBタイプの方がよく揺れたことがわかりました。

ちなみに実際の建築物の揺れ方は、
高層の建物ではユラユラ揺れるAタイプ、低層の建物ではカタカタ揺れるBタイプの結果に近くなります。
(どちらが安全ということは一概に言えないのですが)

次に、ようかんのフレームがどのくらい変形したかを分析しました。

こちらが変位量を示したグラフです。

AタイプもBタイプも最大で0.5cm変形していました。
もし高さ10mのビルだったら、20cm以上の変位量です。恐ろしい。。

さらに今回の実験では、より大きな震度6弱まで振動を与えてみました。

結果、なんと最大変位量2.6cm!! もし高さ10mのビルなら100cm超えの変形!!しかも最後までフレームは倒れませんでした!!
鉄筋コンクリートのビルなら倒壊しています!ようかんは驚異の耐震性能をもっているのか!?
…だけどこんなに変形する建物は嫌ですよね。。

今どきの建物は、震度6弱程度では倒壊の危険性は低いとされていますが、震度6強程度になると被害が出るケースも出てきます。
今回、ようかんも震度6弱に耐えたことで一般的な建物と同等の耐震性レベルは十分に保持していることが分かりました!
(少し強引かもしれませんが・・・)

建設工程~ その4 ~積算・調達

設計図や材料が決まったところで、今回のプロジェクト全体の見積もりを計算します。

見積工程では、設計図から施工に必要な材料の数量を算出していきます。
建築用語では、これを「数量拾い」と言います!
拾った数量に材料の単価を掛け、全体の見積金額を計算します。

ところで、みなさん高層ビルや大きな建築物の見積書を見たことがありますか?
初めて見た私は度肝を抜かれました。

それがこちらです。

\ ジャン! /

実物のビルと比べると、ウリ二つ。

超高層お見積りになっております。
これだけ1つの建物に、膨大なヒトとモノとカネがかかっているということですね。

見積書ができたら、いよいよ材料の調達です。
今回は白い建物をつくるので、白あんの主原料、インゲン豆を買いにアメ横の豆屋さんへ来ました。

調達のプロが食材であるインゲン豆を真剣に物色しました。

納得の素材を見つけ、大量に買い込みました!

さぁ、材料はそろいました。
次回はいよいよ施工に取りかかります!