建設工程~ その3-1 ~実験【圧縮試験】
今日は「つくば技術研究所」で実験です。
みなさんは、どんな「ようかん」が建築材料としてふさわしいか、調べたことがありますか?
……ないですよね(笑)。
今回は、それを会社の本物の試験機を使って実証します。
我々は建築に最適な「ようかん」の要素を3つ考えました。
それは「強度」、「施工性」、「おいしさ」です!
(施工性は、型枠へのようかんの流し込みやすさです。)
まずは強度を調べる実験です。
ようかんは寒天で固まってます。だから、この寒天の種類や量を変えることで、強度が変化するはず! そこで、いろな種類の寒天でようかんを作ってみました。
(今回は白あんで統一しています)
今回、ようかんに使用した寒天は5種類(ZR、S6、S8、S9、カリコリカン)です。
…初めて聞いた名前ばかりではないでしょうか。これらは実在する寒天の商品名なんです!
実験で使うのはこの試験機、オートグラフくんです。
台の上にようかんをセット。上から圧力をかけ、どのくらいの力まで耐えられるかを測ります。
ちなみに通常、コンクリートの圧縮試験を行うときは、これより大きな試験機、アムスラーくんを使います。
その様子がこちら。ドカーンと爆発するかのように壊れます!
現場で見ると、心臓が止まるほどの衝撃です…
では、さっそくようかんをセットして、実験開始!
かなり地味なビジュアルなのでハイスピードで再生してみます。
全種類のようかんの計測終了!結果が出ました!
グラフのタテ軸の「荷重」は、上から押した力。
ヨコ軸の「ひずみ」は、ようかんが縮んだ割合です。
ちなみにコンクリートの場合は、こんなグラフになります。
グラフのタテ軸を見ると、コンクリートが壊れた数値は80,000(N)を少し超えたところです。これ、実は約8tです!!
コンクリートもですが、試験機がスゴイ。。
さて、実験結果のグラフに戻ると、
強度が高いのはカリコリカンのようかんでした!
2位はZR2倍、3位がS9です。
(ちなみにZR2倍というのは、ZRの寒天を2倍の量に増やしたようかんです。)
…しかし!
試しにカリコリカンのようかんで建物の一部を作ってみたところ…
硬すぎるせいか気泡が入って、
表面がデコボコになってしまうことが判明!
施工性に問題ありでした……無念。
では2位のZR2倍はどうか…?
実験結果のグラフのZRとZR2倍を比べると分かりますが、寒天が多い(水が少ない)ほうが「ようかん」は強くなるのです。
これはコンクリートの場合も同じで、セメントが多い(水が少ない)ほうが、コンクリートは強くなります。
…しかし!
ZR2倍を試食してみると…不自然にカタく、食感がよくない…。
寒天の入れすぎです。。。
これだとせっかく作っても、子どもたちは喜んでくれない。。。。
というわけで、おいしさに問題ありでした…無念。
こうなると、3位のS9に期待がかかります。
さぁ気になる味はどうか?
……ん、おいしい!
というわけで、結論が出ました!
- 結論①
- 強度、施工性、おいしさを考慮した結果、
使用する寒天はS9に決定!
せっかくなので、他にも色々なようかんを作ってみました。かぼちゃ、ずんだ、小豆、どれも美味しかったです。
建設工程~ その3-2 ~実験【曲げ試験】
次は、ようかんの補強材を決めるための「曲げ試験」です。
みなさん、鉄筋コンクリートの中には硬い鉄筋が入っていることはご存知ですよね。
コンクリートは押す力にはとても強いんですが、
引っ張る力には弱いという欠点があるんです。
そのため、コンクリートの建物は、
柱や梁の中に鉄筋を入れて補強しているんです。
鉄筋はD10(直径10mm)、D13(直径13mm)など、直径によって呼び名が変わります。
D51だと長さ1mで約16kgもあるんです。鉄筋コンクリートに用いる異形鉄筋には表に凹凸のリブがあり、コンクリートとの付着性を高めています。
この鉄筋に代わって
ようかんを鉄筋のように補強してくれる食材を探します。
鉄筋の代わりに用意したのは、以下の食材です。
- ほしいも
- ドライフルーツ
- こんにゃく
- えのきたけ
それぞれの食材を入れたようかんの梁を作りました。
実験で使うのは、ひきつづきオートグラフくん。
ようかんの梁の真ん中を上から押して曲げていき、どの食材が梁を強くするのかを検証します。
さぁ実験スタート!
実験後の梁がこちらです。
ほしいもを入れた梁の断面では、梁に加えた力が食材にしっかり伝わって、食材が破断していました。それに対し、こんにゃくでは、食材がようかんから抜けてしまっています。
こんにゃくは表面がツルツルなのでようかんとの付着性が弱いんですね。
ほか4種類の梁の実験も終了。
結果が出ました!
グラフのタテ軸の「荷重」は、上から押す力の大きさ。
ヨコ軸の「たわみ」は、ようかんの梁が曲がった大きさです。
結果を検証すると、ほしいもとドライフルーツが補強材として良さそうですね。
補強材なしのようかんと比べると、約2倍の荷重に耐えています。
試食してみると、程よい食感で、とてもおいしいです。
- 結論②
- 補強材は、ほしいもとドライフルーツが、
味も損ねず、高い補強効果を持つことが分かった。
これで、「食べられる建物」に使う、ようかんの種類と補強材が決まりました!
次回は、おそらく世界初の試み!
「ようかん」は地震に強いのかを検証する振動実験を行います。お楽しみに!
※実験に使った「ようかん」は、社員でおいしくいただきました!